【盗撮犯罪が増加する理由と、私たちにできること】

【盗撮犯罪が増加する理由と、私たちにできることについて】

こんにちは。今回は、日本で深刻化する「盗撮犯罪」について、背景や法制度、そして私たちができる対策について丁寧に解説します。


▶️ 盗撮犯罪が増えているのはなぜ?

2023年に「撮影罪(性的姿態等撮影罪)」が新たに施行されたにもかかわらず、盗撮の件数は増加の一途をたどっています。警察庁のデータによると、2022年には5,737件だった検挙件数が、2023年には6,933件と約20%も増加しました。

増加の背景には以下の要因があります:

  1. 技術の進化:スマートフォンや小型カメラの高性能化により、誰でも簡単に盗撮できる環境が整ってしまいました。
  2. 法制度の限界:「撮影罪」は制定されたものの、適用には”性的羞恥心を害する”などの主観的要件が必要で、立証が難しい場合が多くあります。
  3. 社会的認識の低さ:盗撮は被害者が声を上げづらく、軽視されがちな問題です。支援体制も不十分です。
  4. 公共施設での発生増加:商業施設や公共交通機関など、混雑した場所での犯行が目立ちます。

▶️ 「撮影罪」の課題とは?

2023年7月に施行された「性的姿態等撮影罪」は、盗撮を刑法で明確に罰するための新しい法律ですが、次のような問題があります:

  • 構成要件が限定的:「性的羞恥心」や「性欲目的」が必要で、客観的に判断しにくい。
  • 摘発が困難:現行犯でないと証拠が乏しく、立件が難しい。
  • 条例との重複:迷惑防止条例との間で適用の混乱が生じています。

▶️ なぜ企業や施設は対策を取らないのか?

盗撮対策が進まない理由には、次のような現実的な事情があります:

  • 見えにくい犯罪:盗撮は発覚しにくく、問題が顕在化しにくい。
  • イメージへの懸念:対策を明示すると、過去に事件があったと誤解されかねない。
  • コストの問題:防犯機器の導入には費用がかかる。
  • 責任の不明瞭さ:法律上、施設側に明確な義務がない。

▶️ それでも対策する意味とは?

  • 信頼の向上:利用者や従業員からの安心感につながります。
  • 犯罪抑止効果:防犯カメラや注意喚起の掲示が、行為の抑止に直結します。
  • 職場環境の改善:更衣室やトイレでの盗撮被害を防ぐことで、働きやすい環境が整います。

▶️ 海外の取り組みから学べること

한글 韓国

  • 法律:性暴力犯罪の特例法で、盗撮やその配布を厳罰化。
  • 処罰:最大10年の懲役、最大1億ウォン(1000万円)の罰金。
  • 特徴:被害者の同意がなくても処罰可能。プラットフォームへの規制も強化。
  • 🇰🇷 韓国:性犯罪者通知制度(MeGreen)
  • 特徴 2009年以降、性犯罪者に関する情報をインターネットで公開
  • 氏名、年齢、顔写真、住所、犯行内容などが確認可能。
  • 利用方法
  • 公式サイト(http://www.sexoffender.go.kr)で検索。
  • 保護者はスマホアプリで通知を受けることも可能。

🇬🇧 イギリス

  • 法律:Voyeurism (Offences) Act 2019 によりアップスカート行為を犯罪化。
  • 処罰:最大2年の懲役、性的満足が目的なら性犯罪者登録も。
  • 🇬🇧 イギリス:Sarah’s Law(セーラーズ・ロー)
  • 特徴
  • 児童に対して危険な性犯罪者が近隣にいるかを保護者が警察に問い合わせることが可能
  • 情報は限定的で、警察の判断により開示される。
  • 利用方法
  • 地元警察に直接申し出る。
  • 緊急性や子どもの安全に関わる場合に限って情報開示。

🇺🇸 アメリカ

  • 法律:Video Voyeurism Prevention Act(連邦法)と各州法。
  • 処罰:最大7年の懲役や性犯罪者登録(州による)。
  • 特徴:「合理的なプライバシーの期待」が法的判断基準。
  • 🇺🇸 アメリカ:性犯罪者登録制度(Sex Offender Registry)
  • 特徴
  • 全国的に性犯罪者の情報が公開されており、誰でもアクセス可能。
  • 犯罪の内容、氏名、顔写真、現住所などが掲載されています。
  • 利用方法
  • 各州が運営する公的ウェブサイト(例:https://www.nsopw.gov)から検索可能。
  • 住所や氏名を入力することで、その地域に住む登録者を確認可能。
  • 対象犯罪
  • 強姦、児童ポルノ、盗撮、覗き見など幅広い性犯罪。

日本

  • 法律:性的姿態等撮影罪(2023年施行)
  • 処罰:最大3年の懲役または300万円の罰金
  • 問題:主観的要件の存在、迷惑防止条例との重複
  • 問題点1:構成要件が限定的
  • 「性的羞恥心を害する態様」などの要件が必要で、日常的な盗撮の一部が対象外となる可能性あり。
  • 例:階段下からのスカート盗撮が「性的な意図でない」と判断されれば適用されない可能性。
  • 問題点2:摘発の難しさ
  • 現行犯逮捕でないと立件が難しく、証拠確保や被害者の証言が不可欠。
  • 問題点3:迷惑防止条例との重複
  • 都道府県条例と新法との間で「どちらを優先するか」の混乱が生じている。
  • 🇯🇵 日本:原則非公開(極めて限定的)
  • 特徴
  • 加害者の前科・前歴は刑事訴訟法や個人情報保護の観点から原則非公開
  • 一般市民が知ることは基本的にできません。
  • 例外的なケース
  • 過去に再犯を繰り返した事例などで、報道を通じて間接的に知ることはある。

▶️ 今後の課題と期待

  • 法の明確化:主観的要件を減らし、行為自体を明確に違法とする。
  • 技術犯罪への対応強化:ディープフェイクやSNS拡散への規制強化。
  • 被害者支援の充実:相談体制、心理的ケア、削除支援の強化。
  • 教育と啓発活動:学校や企業での性教育やプライバシー教育の充実。
  • 業務上の立場(医師、教師、警察官等)を利用しての盗撮等性犯罪に対する厳罰化。
  • 当該盗撮現場を管理する者に対する責任の明確化

盗撮犯罪の根絶には、法律だけでなく社会全体の意識と行動が必要です。ひとり一人が「被害を見逃さない」「声をあげる」ことが、より良い社会の実現につながります。

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