盗撮犯罪で検挙された者の執行猶予について
- 2024/5/18
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盗撮犯罪で検挙された者の大半は、裁判のなかで実刑ではなく「執行猶予付き判決」が言い渡されている。
私はこれだけ酷いのに『なぜ執行猶予付き判決なのか?』と強い憤りと疑問を常に感じるのですが、 それは私だけではなく被害者や被害者家族も同様に感じている。
そもそも執行猶予とは?
日本では刑法25条から27条の7までに規定されており、刑事訴訟法333条で刑の言い渡しと同時に、判決で言い渡すこととされており、執行猶予が付された判決のことを執行猶予付判決といいます。
刑法
(刑の全部の執行猶予)
第二十五条 次に掲げる者が三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる。
一 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
二 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあってもその刑の全部の執行を猶予された者が一年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受け、情状に特に酌量すべきものがあるときも、前項と同様とする。ただし、次条第一項の規定により保護観察に付せられ、その期間内に更に罪を犯した者については、この限りでない。
(刑の全部の執行猶予中の保護観察)
第二十五条の二 前条第一項の場合においては猶予の期間中保護観察に付することができ、同条第二項の場合においては猶予の期間中保護観察に付する。
2 前項の規定により付せられた保護観察は、行政官庁の処分によって仮に解除することができる。
3 前項の規定により保護観察を仮に解除されたときは、前条第二項ただし書及び第二十六条の二第二号の規定の適用については、その処分を取り消されるまでの間は、保護観察に付せられなかったものとみなす。
(刑の全部の執行猶予の必要的取消し)
第二十六条 次に掲げる場合においては、刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消さなければならない。ただし、第三号の場合において、猶予の言渡しを受けた者が第二十五条第一項第二号に掲げる者であるとき、又は次条第三号に該当するときは、この限りでない。
一 猶予の期間内に更に罪を犯して禁錮以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
二 猶予の言渡し前に犯した他の罪について禁錮以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
三 猶予の言渡し前に他の罪について禁錮以上の刑に処せられたことが発覚したとき。
(刑の全部の執行猶予の裁量的取消し)
第二十六条の二 次に掲げる場合においては、刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消すことができる。
一 猶予の期間内に更に罪を犯し、罰金に処せられたとき。
二 第二十五条の二第一項の規定により保護観察に付せられた者が遵守すべき事項を遵守せず、その情状が重いとき。
三 猶予の言渡し前に他の罪について禁錮以上の刑に処せられ、その刑の全部の執行を猶予されたことが発覚したとき。
(刑の全部の執行猶予の取消しの場合における他の刑の執行猶予の取消し)
第二十六条の三 前二条の規定により禁錮以上の刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消したときは、執行猶予中の他の禁錮以上の刑についても、その猶予の言渡しを取り消さなければならない。
(刑の全部の執行猶予の猶予期間経過の効果)
第二十七条 刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消されることなくその猶予の期間を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。
(刑の一部の執行猶予)
第二十七条の二 次に掲げる者が三年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受けた場合において、犯情の軽重及び犯人の境遇その他の情状を考慮して、再び犯罪をすることを防ぐために必要であり、かつ、相当であると認められるときは、一年以上五年以下の期間、その刑の一部の執行を猶予することができる。
一 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
二 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その刑の全部の執行を猶予された者
三 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2 前項の規定によりその一部の執行を猶予された刑については、そのうち執行が猶予されなかった部分の期間を執行し、当該部分の期間の執行を終わった日又はその執行を受けることがなくなった日から、その猶予の期間を起算する。
3 前項の規定にかかわらず、その刑のうち執行が猶予されなかった部分の期間の執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった時において他に執行すべき懲役又は禁錮があるときは、第一項の規定による猶予の期間は、その執行すべき懲役若しくは禁錮の執行を終わった日又はその執行を受けることがなくなった日から起算する。
刑事訴訟法 第333条
- 被告事件について犯罪の証明があったときは、第334条の場合を除いては、判決で刑の言渡をしなければならない。
- 刑の執行猶予は、刑の言渡しと同時に、判決でその言渡しをしなければならない。猶予の期間中保護観察に付する場合も、同様とする。
以上のことから、『執行猶予制度』について簡単に説明すると、刑事政策の見地から短期自由刑の執行や前科がつくことによってもたらされる弊害を回避しつつ、被告人に対し執行猶予の取消しにより刑が執行される可能性を警告するものであり、これにより被告人の善行の保持や再犯の防止を図ろうとする点にあります。
覚醒座事案や盗撮などの場合も加害者の更正を促し、その刑を猶予するとして、懲役◯年執行猶予(最大5年)として裁判官の裁量権で最大5年間その刑を猶予し社会で更生を促すものですが、そこに問題があるのです。
先にも書きましたが、「前科がつくことによってもたらされる弊害を回避」するチャンスを与える必要性が有るからこそ再犯を繰り返すのではないだろうか?
執行猶予がつく・つかないの判断基準は、刑罰に執行猶予が付くか付かないかには、上記刑法の条文にもあるように、被告人が起訴された罪の最高刑罰が、懲役または禁錮3年以下、または罰金50万円以下であること、という最低限の条件があります。 懲役3年6月等、懲役3年を超えた場合、執行猶予をつけることはできません。 そして、執行猶予は、過去に懲役刑を受けたことがない場合(いわゆる初犯の場合や再犯でも猶予期間を超えて再犯を犯さなかった場合等)は、犯罪内容にもよりますが、執行猶予付つきの判決が広く認められます。
では、再犯率の高い犯罪でもある盗撮犯罪(撮影罪)を見直してみると、
性的姿態等撮影 三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
性的影像記録提供等 三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。7
性的影像記録保管 二年以下の拘禁刑又は二百万円以下の罰金に処する。
性的姿態等影像送信 五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
性的姿態等影像記録 三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。となっていますので、撮影罪で検挙されても執行猶予付き判決がほぼでます。
皆さんはどう思いますが。
盗撮され『性的姿態等影像送信』以外には抑止力がほぼないと思いますが・・・
これも捜査機関がどこまで捜査するか。若しくは提供されている実態について判明している場合に限ります。 盗撮は、知らぬ間に撮影され拡販されているデジタルタトゥーのなかで被害者が気付いた時に対策がされづらい現状で猶予付き判決はまだまだ甘いのではないかと考えます。